Ⅰ 中原木材工業のはじまり
戦後復興の最中、中原清助がはじめたかまぼこ板の木材加工。
当時、萩の町に何十軒とあった蒲鉾屋。子ども達からご近所さんまで総出で加工した
かまぼこ板の配達に忙しくしていた。
配達ついでにもらう出来立てのかまぼこは子どもたちが大好きなおやつだった。
Ⅱ 中原木材工業の繁栄
1960年代。高度経済期。
清助の息子 俊昭は、新たに大手企業の電気こたつの木枠加工を請け負う。
昼は30名程の職人と木材加工。夜はトラックで四国まで納品。
子ども達はお父さんの仕事をトラックの運転手と思っていた。
仕事が終わると近場の商店奥にある角打ちへ。
働いたあとに一杯酒をひっかけるのがたのしみ。
夕飯時になると、そんなお父さん達を自転車で呼びに行くのも子ども達のちょっとした仕事でした。
Ⅲ 中𠩤忠弦の誕生
1990年代。
バブル時代は終焉を向かえ、これまで請け負っていた企業の木材加工の仕事が次第に海外へ流出。
一人また一人と苦楽を共にした職人達が去っていった。
追いうちをかけるように、台風で工場の屋根が吹っ飛ぶ。
これを機に、都会から戻ってきた長男チュウゲン。
あんなに忙しなく動いていた製材機がホコリを被り錆び付いていく姿を
横目にただただ日々を過ごすしかなかった。
しかし
もし、これが映画だったら。
ここで、バットスーツを纏ったような、
もしくはジェダイ、もしくは七人の侍のような人物が窮地を乗り越えるべく登場するはず。
と、考えたチュウゲンは、名を変え、レザージャケットを纏い、
この祖父の頃からの工場を新たに復活すべく、手始めに石を積み洞窟のような基地を作り始めた。
Ⅳ 新生「中𠩤木材」へ
バブルの残り香。埃をかぶった大型製材機。
とてつもなく風変わりで奇妙なロボットに見えた。
その傍ら、壊れた椅子をたくさん集め、解体しては構造を学びながら、
廃墟化した、時が止まったままの工場の改装に着手する。
かつて戦いで破壊された星。
一度再生を遂げたが、再び戦で滅ぶ。
そんな世界になんとか生き延びている者が、また新たに復活を遂げようとする。
そんな風に思えた。
こうしてできた第一惑星(アトリエ)は、捨てられる運命だった材料ばかりでできていて、
石と鉄と木と革の成分で構成されている。
そして、
日・月・火・水・木・金・土
これらの要素を空間に取り入れて宇宙に
みたてた。
この惑星の住人は、スツールのアポロ。椅子のカイト達。
ひとえに家具として捉えるより、「惑星の住人」というキャラクターとして
捉える事でものづくりが一層楽しくなった。
さて、次はどんな惑星をつくろうか。
つづく・・・・
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